頭皮の汚れとトラブルのお話

~頭皮の汚れは血管委縮型と脂漏性型の疾患原因になります~

皮膚を清潔に保つことは生命活動の基本ともいえます。

頭皮が不潔になると正常菌叢にゆがみが生じてくることをご存知ですか?

腸内フローラ(腸内細菌叢)、口内フローラ(口内細菌叢)という言葉を耳にすることが多くなってきたと思いますが、皮膚にも約200~300種の微生物が生息しています。これをスキンフローラとでも言いましょうか、皮膚の各部位によってさまざまに細菌叢を形成しています。皮膚に異常がない時は目に見えない細菌叢が外界からの様々な刺激から身体を守り、共存しています。(詳しくは別に書き足していきます)

頭皮が不潔になるとこの正常な細菌叢にゆがみが生じ、黄色ブドウ球菌・化膿連鎖球菌などの化膿菌が増えて、血管を収縮させ、血流を阻害し、多くの皮膚疾患を発生させます。場合によっては、血管委縮脱毛症を起こすことも珍しくありません。

一方、脂漏性の汚れは座瘡桿菌・表皮ブドウ球菌などの尋常菌(すべての人間が持っている生命活動に不可欠な菌)を増やし、リパーゼ酵素を異常分泌させて、皮脂膜の酸化を促します。
その結果、不飽和脂肪酸~プロスタグランジン~ロイコトリエンを形成させ、細胞を破壊して多くの脂漏性疾患を発生させます。場合によっては脂漏性脱毛症を起こすことも珍しくありません。

頭皮の汚れは疾患の原点と言っても過言ではないのでしょうか

それでは、皮膚からくる汚れの成分を上げていきます

1)脂性の汚れ
2)老廃物(水分・塩分・アンモニア・尿素・インドール・ナイアミン・アラントイン・硫化物質など)
3)角質(タンパク質)

などに大別できます。頭皮の汚れによって発生する疾患の中で、最も象徴的な現象がフケの発生です。

ふけの分類と原因

分類原因
粒子が細かく痒みのないふけピチロスポルム(常在菌)・オバーレ(常在菌)
粒子が細かく痒みのあるふけ白癬菌(外来菌)
粒子が大きく痒みのあるふけ座瘡桿菌(尋常菌)
<脂漏性疾患>
粒子が大きく不快臭を伴うふけプロピオン酸菌
<脂漏性疾患>

また、頭皮が不潔になると紅斑や湿疹を促して、慢性的な皮膚炎を発生させます。悪化すると丹毒(慢性的な火傷状態)や壊死症(突発的な火傷状態)を発生させることもあります。

ご自身の頭皮をチェックしてみて下さい

□痒み、痛みを感じる。(黄色ブドウ球菌・化膿連鎖球菌)
□ふけがでる。
□紅斑や湿疹(痒みを伴う)がある。<血管委縮>(黄色ブドウ球菌・化膿連鎖球菌)
□紫斑や湿疹(痒みを伴わない)がある。<脂漏性>(表皮ブドウ球菌)
□毛の弾力性がなくなり成長が遅い。<血管委縮>
□毛が細く痩せ脱毛する。<血管委縮>

~頭皮の保護システムについて~

頭皮の保護物質には①皮脂膜②水分③バリアゾーン④正常菌叢があります。

頭皮の保護物質

①皮脂膜の形成皮脂腺から脂肪成分が分泌されています。皮膚の尋常菌である座瘡桿菌・表皮ブドウ球菌から分泌されるリパーゼ酵素(脂肪分解酵素)により中性脂肪が分解され、グリセリド・脂肪酸・乳酸等が形成され、水分とほどよく混じりあい皮脂膜を形成させます。
皮膜作用により外界刺激物(*)から皮膚組織を守っています。
②水分皮膚は絶えず発汗を繰り返しています(ヒートテックはこれを応用)。不感蒸泄・不可視性発汗とも言います。
脳は高温に対する許容範囲が小さいため、発汗作用により温度を細かく調整して、脳の保護をおこなっています。
又、水分は皮脂成分と混じりあい皮脂膜を形成させ、乾燥や外界刺激物(*)から皮膚組織を守っています。
③バリアゾーンバリアゾーンは角質細胞とセラミド(ヒアルロン酸・リン脂質・NMF)によって形成されています。ヒアルロン酸とリン脂質の重層構造によって外界刺激物(*)から皮膚組織を守っています。
④正常菌叢頭皮には正常菌叢(尋常菌・常在菌)と言われる200~300種の微生物が繁殖し、自らのバランスの確保と外界から侵入する多くのカビ・細菌・ウイルスによる細菌感染症から皮膚組織を守っています。

*外界刺激物とは機械的な刺激(圧迫・摩擦)、物理的な刺激(紫外線・風・乾燥・低温・高温)、生物的な起因物質(カビ・細菌・ウイルス・毒性植物・動物毒)、化学物質、重金属を指します

このようなことからわかるように、頭皮の汚れの大部分は役割を終えた保護物質です。
そのため速やかに取り除く必要があります。(a)洗浄力の弱いシャンプー(b)細菌感染に弱いシャンプー(c)強い抗炎症剤や殺菌剤を配合したシャンプーを長く使用した場合、頭皮の汚れや細菌感染症を誘発させ、多くの皮膚疾患を発生させることも、いまや珍しくなくなってきました。

今お使いのモノは大丈夫ですか?