ヘアカラーのリスク管理

ハザード(毒性)=リスク(危険度)ではありません

毒性の強いものでも少量の暴露(摂取)なら問題とならず

毒性の弱いものでも大量の暴露(摂取)なら問題が生じます

リスク(危険度)=ハザード(毒性)×暴露量(摂取量)×時間だと思います

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

ヘアサロン サカシタウィードの大坂です

最近読ませていただいた本に書いてありましたが

そのまま当てはめることができそうなので、流用させていただきました

 

ヘアカラー(白髪染め)のリスクとは・・・

リスク(危険度、ダメージ度)=

ハザード(パラフェニレンジアミン系酸化染料、HC染料、塩基性染料、アンモニア、モノエタノールアミン、その他アルカリ剤、過酸化水素など)×

暴露量(医薬部外品のため国で定められた配合量)×

時間(放置時間、使用回数)

 

まずはハザードから見てみますと

パラフェニレンジアミン系酸化染料の危険性は、皮膚に対してアレルギー性接触性皮膚炎を引き起こしやすい物質なので、アトピー性皮膚炎の方やその他アレルギーを持っている方、には使用できません。
なので問診やパッチテストでリスク回避はできるでしょう。
頭皮が赤い方や荒れている方も使用しない方が良いでしょう。
そうでない方もその日の体調が悪い方、病中病後、産中産後、等はリスクが高まります
健常者に対しても、アナフィラキシーショックの危険はありますので、頭皮に適切な保護剤などを刷り込み、薬剤反応を和らげることもできます。

髪の毛に対しては、パラフェニレンジアミン系酸化染料は気にするほどのダメージはないのですが、キューティクル部分で酸化重合してしまうと手触りが悪くなります。
このリスク回避は、カラー剤を流すときにしっかりと乳化し、適切なシャンプー法で回避できるでしょう。

HC染料はパラフェニレンジアミン系酸化染料に比べ、リスクが低い直接染料です。
分子が小さいので髪の中に浸透しやすく、肌に入り込むほどの大きさではないのでリスクは少ないでしょう。
しかしまだ新しい染料なので、皮膚に対してどの程度のリスクが含まれているかはわかっていないのが現状です。
カラートリートメントに使われている染料なので、髪の毛に対するダメージはほぼないでしょう。

塩基性染料もまたリスクが低いと言われている染料です。分子量もHC染料よりも大きく、髪にイオン吸着して色を付けるタイプです。
分子量が大きいため皮膚に浸透するということもないでしょう。
この染料もカラートリートメントに使用することが多いため、ダメージもほぼないと思います。
塩基性染料もまた、2001年の規制緩和によりカラー剤に配合することができるようになった染料のため、皮膚に対してのリスクはまだわかっていないものです。

アンモニア、モノエタノールアミン、その他アルカリ剤のリスクは、髪の毛や地肌をアルカリ性に傾けてしまうリスクがあります。健康な髪と頭皮は弱酸性(PH4,5~5,5)のため、そのままアルカリに傾いたままだと様々なリスクがでてきます。
特にモノエタノールアミンなどは、アンモニアのような刺激臭がなく、ホームカラーに配合されることが多いのですが、残存性が高く白髪染め後もアルカリに傾いたままの状態が長く続いてしまいます。
アンモニア類は、揮発性が高く刺激臭があるのですが、その揮発性から髪や地肌に残存することが少ないため、美容室のカラーに多く配合されています。
粘膜についた場合は危険度が増します。

白髪染め等アルカリカラーに含まれるアルカリ剤は、白髪と黒髪を同じ色にするためになくてなならないものであり、1剤と2剤をミックスすることにより様々な役目を果たしますが、その役目が終わったら直ちに取り除くことが不可欠に思われます。
アルカリ剤のリスク回避として、モノエタノールアミンは炭酸水などで効果的に取り除き、アルカリに傾いた髪の毛と頭皮は、酸度のあるものでしっかりと中和することが望ましいと思います。

ヘアカラーの2剤に含まれる過酸化水素は、分子の非常に小さいパラフェニレンジアミン系酸化染料を、髪の中に定着肥大化するために使われるもので、その濃度によりリスクがかわってきます。
日本ではヘアカラーに使用する過酸化水素の濃度の上限があり、6%までとなっています。
1剤とミックスすることにより、3%まで濃度が下がりますが、その濃度で染料が発色するには十分ということでしょう。
過酸化水素(H2O2)は、反応が終わると水(H₂O)と酸素(O)に変わり、リスクが少ないと言われますが、1部の過酸化水素が残存すると活性酸素を作り出してしまい、皮膚や髪を攻撃しリスクを高めることがあります。
残存してしまった過酸化水素をしっかりと取り除くことも必要と思います。

反応が終わった過酸化水素を安全に分解するために、体の中にもあるカタラーゼという酵素を使用すると、残存過酸化水素のリスクは減らすことができます。
また、2剤自体に活性酸素を抑える機能を持った持ったものもあります。

暴露量については、ヘアカラーは医薬部外品のため、各種化学成分の上限配合量が決められており、各社メーカーがその規定の中で製造する限り、危険度は低いと思います。

時間、使用回数ついては、決められた時間以上に長く放置したり、1週間に1度染めるような頻度が高くなれば暴露量が少なくても、リスクは上がっていくと思います。

アルカリカラーによる白髪染めは、その使用法をしっかりと守り、尚且つ各リスクを低く抑えるリスク管理を行えば、今まで以上の効果が表れます。

リスクが分かっている化学物質は、その対処法も考えることができ、日々進化していることと思います。

トリートメントで誤魔化すのではなく、髪と地肌から余分な成分を取り除くことが、ヘアカラーのリスク管理に必要ではないでしょうか?

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

大坂正樹

 

 

 

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