汚染源の現状 ~界面活性剤~

界面活性剤は洗剤ばかりでなく化粧品分野、食品分野、薬品分野に多面的に活用されている。
これらの界面活性剤応用製品の利用後の廃棄物による汚染はあまり考えられていない。

界面活性剤は主として水分と油分を共存させる役割として活用されていますが、さらに製品目的に応じた化学成分が配合されており、これらが一体となって環境領域に排出されている。

洗剤から
  • 洗濯排液には、衣類に付着した人体からの汗の成分、皮脂分、皮膚垢、外界からの種々の水溶性や油性の成分、固体粒子など広範囲に含まれている。
  • 入浴では体に付着している垢の成分が主体となり、台所の流しからは各種飲食物の成分、とりわけ界面活性剤が仲立ちしている油性分。
  • リビング関係の洗浄剤強いアルカリや酸が含まれているものが多く、界面活性剤の割合は少ないが影響は無視できない。
    化粧品分野から
  • 化粧品はすべて皮膚面に塗布されるもので、乳液、クリームをはじめ大方は水と油の共存物で占められている
  • 塗布後の除去物には皮垢をはじめ、皮脂を主とする皮膚からの分泌物が入り混じっている
  • 口紅、ファンデーション、眉墨などの着色料もあり、洗髪における毛髪仕上げ剤の成分もある
    食品分野から
  • 食品の場合、食べ残しや食器類への付着物の洗浄による流しからの排液
  • 特にマヨネーズは一般家庭でよく使われるが、油脂分が微細粒子として全体を占めているので、排液中にはこの油脂分がかなり混入することになる
    環境を守る生分解性  ~バクテリア~
  • 環境に排出された界面活性剤の応用製品は、すべてが水質汚濁を引き起こすすわけではありません。水中や土壌には有機性物質の分解屋である「バクテリア(細菌類)」などの微生物が無数に存在しているからです
  • 細菌類は非常に小さく、普通胞子は作らず分裂して増え自然界のどこにでも存在しています。日光を受けて栄養分を作る光合成ができないので、生物体(動植物の死骸)や他の有機物を分解して栄養分とします。
    その結果水質を浄化し、有機物を土に戻し土壌を肥やすことにより、土中生物を繁殖させるなどの貢献をしている。

    界面活性剤の生分解性は分解程度によって、二段階に分けられる
  • 「一次的生分解」  界面活性剤の一部分が分解を受けて能力を失う程度の分解
  • 「究極的生分解」  分解の最終段階である二酸化炭素と水になった状態か、微生物の体内成分になった状態生分解性の程度をを測定する方法の一つに生物化学的酸素要求量「BOD」がある。微生物が有機物を分解する際に消費する酸素の量を測定することで水質の汚れ具合を測るもの。
    これに付随して発生する二酸化炭素の量や、未分解の有機物の量を測定する方法も活用されている。

    「好気性バクテリア」 
  • 有機物を分解するとき、酸素を必要とする細菌
  • 排液中に含まれる有機物をすべて分解し、最終的に水と二酸化炭素に変える
  • 好気性の分解では有機物の分解量に比例して酸素を消費するので、あまり汚れ分量が多すぎると酸素が不足して分解できなくなる
  • 汚濁物質が多量になるほど分解未処理の汚れ成分が蓄積し、水質や土壌の汚染度が増していく
    「嫌気性バクテリア」
  • 有機物の分解に際し酸素を必要としないもの
  • 好気性バクテリアが酸素を使い果たして活動できなくなった状態のところに出現し、活動を始める
  • 空気の届かない地中深くなどにも部分的には存在して、無酸素分解の働きをしている
  • しかし、地表面近くでの働きは環境に悪影響を及ぼす
    嫌気性バクテリアによる有機物の分解は悪臭の著しい成分であるメルカプタンや硫化水素、アンモニア等をはっせいさせ、そこの水質を腐敗に導き最終的には生物の生息できない「水の死」にいたらしめるからです