はじめに・・・
この毛髪の基礎知識は
毛髪科学図鑑、毛髪大全科、新ヘアサイエンスを参考にまとめたモノです
自然交替による生理的脱毛の許容範囲をこえて、一時的に脱毛が多くなることを「異常脱毛」と呼んでいます
短期間に頭髪の一部または全部が脱落する病的症状のモノから、遺伝的要素から次第に薄くなっていくものまで、その原因は多種多様です
結果として、毛乳頭機能の停止や衰えが生じ脱毛が起こります
毛乳頭周辺は毛の製造工場
成長期にある毛を無理に引き抜くとちょっと痛みを感じ、その毛の先端は柔らかく、周囲に白いものが付着しています
この白いモノは脂ではなく、毛根周辺の毛根鞘の細胞です。
成長期の毛根は毛乳頭にしっかりと接続し、その固着力は約50gなので、無理に引き抜くと毛乳頭周辺の細胞が剥がれてくるのです。
しかし、毛乳頭は毛の一部ではなく、真皮に組み込まれた別の組織です。
いくら毛を抜いても毛嚢の底部には残っており、また新しい細胞を作り出しますが、限りはあるそうです。
この新しい毛が出て来るまでの日数は、頭頂部で129日、側頭部で117日というデータがアメリカで発表されたことがあります。
成長期毛根を無理に抜いた場合、しっかりと毛乳頭に接続している部分を剥がしとる訳なので、一時的に傷を与えたり、軽い炎症を起こさせたりすることで、回復に時間がかかるものと思われます。
異常脱毛の原因
1、栄養障害
栄養のない低カロリーダイエットで痩せることはできても、毛髪や皮膚の原料となるたんぱく質が不足してくると、毛が生産されなくなってきます。
直接ケラチンたんぱく質の原料になる訳ではありませんが、食品中に含まれるビタミンやミネラルは、細胞内で酵素の働きを助ける大切な微量成分です。
酵素は細胞工場で新しい物質を合成したり、分解したりする代謝反応に大切な役割を果たしています。ミネラルやビタミンが不足すると、代謝が正常に行われず脱毛を誘引することがあります。
鉄や亜鉛の欠乏から脱毛を起こした症例もあります
ビタミンについては、特に何が不足して脱毛を起こすという明確なデータはまだないそうですが、皮膚細胞、毛髪細胞に対する代謝が正常でなくなるであろうことは充分推測されますが、一般的に次のような症状が現れます
ビタミンA不足・・・皮脂の分泌が減ったり、汗腺の働きが衰えて角質層が厚くなり、毛髪は乾燥性になって折れたり抜けやすくなる
ビタミンB₂不足・・・皮膚が乾燥して硬くなり、毛孔が拡大して毛髪が抜けやすくなる
ビタミンB₆不足・・・皮脂分泌が多くなり、脂漏性脱毛の原因となることがある
その他パントテン酸、ニコチン酸、パラアミノ安息香酸、ビタミンB₁₂等のビタミンB群、ビタミンE、Fなどそれぞれ大なり小なりの影響を与えているようです
2、内分泌障害
ビタミンは外から取り入れる細胞の潤滑剤ですが、これに対して内分泌といわれるホルモンは、体の中の器官が作り出す微量の細胞刺激剤です。
単独にある作用をするほか、互いに協調して総合的なからだ全身の機能のコントロールをしています。
脱毛症の分類
1,成長期性(萎縮毛性)脱毛症
・円形脱毛症
脱毛症の中で最も頻度の高いものの一つが円形脱毛症です
一般的な分類 | 範囲 | 特殊型等を含めた分類 | |
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①単発型 | ⑤通常型 | 脱毛班が1つの単発型 | |
②多発型 | 範囲が狭い | ⑤通常型 | 脱毛班が数個までの狭い範囲の多発型 |
範囲が広い | ⑥多発融合型 ⑦蛇行型 | ⑥脱毛班が広い範囲に多発融合 ⑦生え際を含む多発融合型 |
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③全頭型 | ⑧びまん型 ⑨急性型 | ⑧急性に脱毛するタイプ、慢性に脱毛するタイプ | |
④汎発型 |
2,休止期性(棍棒毛性)脱毛症
・接触性皮膚炎、慢性湿疹による脱毛
・脂漏性皮膚炎、フケ症に伴う脱毛
・男性型脱毛症
・分娩後脱毛症(産後脱毛症)、ピル使用後脱毛症
3,全身状態(疾患)に伴う脱毛症
・栄養障害による脱毛
断食、飢餓療法などダイエットによる脱毛
・内分泌疾患に伴う脱毛
①甲状腺機能亢進症
②甲状腺機能低下症
・膠原病に伴う脱毛症
①全身性エリテマトーデス
②慢性円板状エリテマトーデス
③進行性強皮症、剣創状強皮症
4,薬剤による脱毛症
①抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)
②副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)
5,感染による脱毛症
①真菌症による脱毛
②細菌感染による脱毛
③梅毒性脱毛症
6,機械的脱毛症(外傷性脱毛症)
①新生児脱毛症
②牽引性脱毛症
③圧迫性脱毛症
④トリコチロマニア(抜毛症)
7,瘢痕性脱毛症
異常脱毛には様々な原因があり、対処が難しい症状です