毛髪の基礎知識①「毛の生態」

はじめに・・・

この毛髪の基礎知識は

毛髪科学図鑑、毛髪大全科、新ヘアサイエンスを参考にまとめたモノです

大事なことだけをまとめたつもりが、全部で3部作になってしまいました。ついつい忘れがちな大切なこと、髪のプロとしてつねに見直していきたいものです・・・

 

毛髪には2面性があります。

生きている毛髪としての面・・・毛根部

死んでいる毛髪としての面・・・毛幹部

毛根部とは皮膚内に埋没している部分を指し、毛幹部とは皮膚面から外部に出ている部分を指します。

毛幹部と毛根部をあわせて、毛器官といい、さらに脂腺を合わせて、毛嚢脂腺系とも言います。

成長期毛の毛根の最深部は、頭髪では深く皮下脂肪識にまで達しています。

一番深い部分は少し膨らみ、毛球といいます。
毛球の下端には穴が開いていて、毛細血管が入り込み、毛乳頭細胞という特殊な細胞がネットワークをつくっています。このスペースを毛乳頭といい、毛の成長を調節する重要な部分です。

毛球の内部は毛母細胞が並んで毛乳頭を囲み、この部分を毛母といいます。
毛母細胞は、表皮の基底細胞のように盛んに細胞分裂を繰り返し、毛になる細胞をつくっています。

毛をつくる細胞層は、毛の中心から順に毛髄、毛皮質、毛小皮の3層です。

毛包

毛包は、毛を包むものという意味ですが、実際にはこれも細胞の層からなります。

毛小皮(キューティクル)の細胞に接する内毛根鞘と、その外側で周囲の真皮に面する外毛根鞘からなります。

生きている細胞集団が毛孔に向かって移動し、毛になるまでを外側からサポートするのが、内毛根鞘の役目です。

外毛根鞘の一番内側の1層は外毛根鞘最内層細胞という特殊な細胞層です。

外毛根鞘最内層細胞も、さらに外側をサポートする同様の役目をしています。

いずれも毛孔まで到達せず、脂腺の導管が開口するすぐ下の毛峡部で壊れて消滅します。

外毛根鞘の一部は真皮に向かって少し膨らむ部分があり、ここを膨大部(バルジ)といい、幹細胞が存在しています。これは、毛根の再生の源になる細胞です。

毛髪の役目

毛髪は皮膚が転化したもので、皮膚と共に体の保護器官です。

ホモサピエンスとしての人類になってからは、体毛の大部分は退化していきましたが、生命活動に重要な役目をはたしている大脳と生殖器の外部だけは長毛が名残りをとどめています。

体毛が退化したとはいえ、足の裏、手のひら、唇などの一部を除き産毛と呼ばれる細い毛が密集し、鼻毛、眉毛、まつげなどの短毛がそれぞれの役目を持って存在しています。

毛の排泄作用

体内に貯留したら大変なことになる水銀やヒ素のような有害金属を、毛が伸びてくるときにその中に取り込んで体外に運び出してしまう、という働きがあります。

本来、こうした有害物質を処理するのは肝臓や腎臓の役目ですが、これらの金属分に限って毛の方が大きな役割を果たしています。

生体内での取り込みのメカニズムは正確にはわかっていませんが、毛の主成分であるシステインが、これらの金属分との結合力が強いためであろうと推察されています。

毛の発生

発生学的には毛は皮膚の転化したモノであるといわれます。
受精卵が細胞分裂を繰り返し、第3週目までには外胚葉、中胚葉、内胚葉の3層に別れ、さらに急速に分化が進んで体の各組織が出来上がります。

外胚葉・・・皮膚、毛、脳、神経系

中胚葉・・・骨格、筋肉、心臓、血管、腎臓、生殖器

内胚葉・・・消化器系等の内臓

皮膚や毛が、人間の精神の座である脳や神経と同じ胚葉から分化してできたということは、皮膚や毛が心の状態で変わってくるという事実と、何か関係があったとしても不思議ではないように思われます。

その後、6~7週に胎児の表皮が出来上がり、9~12週にかけて毛芽と呼ばれる毛包の最初の出発点が発生してきます。そのうちに毛芽の細胞群が分裂を起こして成長し始めます。

前毛芽期~毛芽期~毛杭期~毛球性毛杭期~完成毛包を経て毛が形成されていきます。

毛の成長

こうして発生した毛髪は日に日に伸びていきます。

成人の毛髪成長速度は頭髪で1日平均0,35~0,4㎜、1か月に約1cm、1年では12cmほど伸びます。
毛の伸びる時間は夜間よりも昼間が早いと言われ、特に午前10~12時までが最も早いとされています。
正確には伸びるというよりも、下から押しだされてきたというべきでしょう。

頭髪の太さは、日本人の場合の平均的な太さは0,08mm~0,09mmで、猫毛といわれる細毛は0,06mm前後、0,1mm以上は硬毛に属します

ヘアサイクル

こうして伸びていった頭髪には寿命があります。
一般的に男性で3~5年、女性で4~6年といわれています。

この毛が発生してから伸びてゆく期間、正確にいえば毛乳頭組織の周囲にある毛母細胞が分裂増殖している期間を、成長期と呼んでいます。

毛の寿命が近づいてくると毛母細胞の分裂が低調になり、伸びかたも衰えてきます。この期間を退行期と呼び、期間的には短く約1か月です。

毛母細胞が完全に活動が停止している期間を休止期と呼び、毛は伸びません。
休止期になったからといって、すぐに抜けるわけではなく3~4か月は頭皮内にとどまり、毛嚢の萎縮と共に次第に上部に押し出され、最後は抵抗なく脱落していきます。

しかし、この頃になると新たな毛包幹細胞が活動を始め、毛乳頭細胞を刺激し再び新しい毛が毛嚢下部で芽生え始めます。

この新生から次の新生までの周期を1ヘアサイクルと呼びます。

頭髪の数

人では体全体で約500万本の毛があり、頭髪の数は全部で約10万本~12万本といわれます。

毛の密度は、皮膚1㎠あたり、頭頂300本、側頭~後頭200本、鬚40本、陰部30本、腕20本程度です。

これらの毛がすべてその交代時期が一緒であれば、ある種の獣のように一斉に抜け替わることでしょうが、じっさいは人間の頭髪はそれぞれ勝手な時期に交替し、ヘアサイクルも異なるので、全体としていつも大体同じ程度の数を保っていることができます。

年をとるとだんだん頭髪がうすくなるのは、老化と共にこのヘアサイクルが短くなり、自然脱毛の数がしだいに増えて、新生と脱毛のバランスがくずれてくるからです。

自然脱毛

自然脱毛根は毛孔内にあるあいだに完全に角化が終了するので、毛根の先端は棍棒状になっています。

したがって、抜け毛の数が異常に多くても、棍棒状であるかぎり、病的脱毛ではありません。(劇的な変化の場合を除きます)

通常の頭髪の中で、成長期にあるものは85%、休止期にあるものは15%といわれます。

生理的な脱毛は1日に60~100本です

秋口に抜け毛が多い方は、夏の間にじゅうぶんに栄養をとらず、頭皮は汗や脂の分泌が多く不潔になりやすい、という悪条件が成長期毛根に影響して休止期がはやまり、それが2~3ヵ月後の秋の抜け毛となってあらわれているかもしれません。

髪の栄養

髪の栄養不足というと、外から油やクリーム類を塗布することで補えるように思っている方も少なくありません。
確かに油類が不足してくると髪はパサパサした、栄養不足という感を受けますが、毛の生成のしくみが分かれば、ほんとうの意味での毛の栄養は、毛乳頭で血液から毛母にあたえられるものでなければならない、ということが理解されると思います。

毛髪の成分はほとんどがケラチンというたんぱく質です。
自然に存在するタンパク質から得られるアミノ酸は約20種類あり、髪を作るケラチンたんぱく質は、18種類のアミノ酸が化学結合してつながっています。

グルタミン酸   15,00%
シスチン     16,00%
ロイシン     11,30%
アルギニン    10,40%
セリン      9,41%
アスパラギン酸  7,27%
スレオニン    6,76%
メチオニン    0,71%
トリプトファン  0,70%
プロリン     6,75%
グリシン     6,50%
チロシン     5,80%
バリン      4,72%
アラニン     4,40%
フェニルアラニン 3,70%
リジン      3,30%
ヒスチジン    0,70%
イソロイシン   0,21%

これらのアミノ酸が毛母にとって一番必要な原料ということになります。
そしてこれらのアミノ酸は血液によって運び込まれますが、そのもとは私たちが食物として摂取するタンパク質です。

肉、魚、豆類などのたんぱく質食品は、胃腸で消化されると、酵素によって分解されアミノ酸にまで分解されます。
分解されたアミノ酸はそれぞれの組織に運ばれ、身体の構成成分として再び利用され、その組織に必要なたんぱく質につくり変えられています。

毛をつくりあげる本当の栄養は、私達が食べるたんぱく質です。

毛によい食品

タンパク質なら何でもいいかというと、これには質の良いモノと悪いものがあります。

アミノ酸の種類の少ないモノ、大切なアミノ酸の含有量が少ないものがあります。
どうしても体内で作ることのできないアミノ酸がいくつかあり、栄養学でいう必須アミノ酸がバランスよく含有されているたんぱく質が、良質のたんぱく質ということになります。

トリプトファン・フェニルアラニン・リジン・スレオニン・バリン・メチオニン・ロイシン・イソロイシン・ヒスチジンの9種類が必須アミノ酸です。

毛髪の成分の中で一番多いシスチンは毛にとって大切な成分ですが、必須アミノ酸の中には入っていません。
しかし、体内で不足している場合、メチオニンから転化されて生体内で合成されます。

したがって、メチオニン、シスチンの比較的多く含まれている食品が、毛にとって良質なタンパク源となります。

参考までに、メチオニン、シスチンが多く含まれている食品

全タンパク質量%メチオニン%シスチン%
大豆34,30,430,48
高野豆腐53,40,650,66
海苔34,21,150,48
22,40,720,22
さんま20,00,580,38
マグロ(赤身)24,30,620,31
鶏肉21,00,640,27
レバー(鶏肉)24,50,710,31
12,70,430,35
脱脂粉乳34,80,820,27
チーズ25,20,750,13
牛肉19,30,430,23

白髪の予防食

白髪の方に黒ゴマや黒豆を食べるように勧める方もいますが、植物の黒い色素は鉄の化合物のヘマチンが多く、毛の黒い色素はアミノ酸のチロシンが酸化されてできたメラニンです。

本質的に全く違うものですから、黒ゴマや黒豆を食べても白髪は黒くなりません。

チロシンを多く含む魚類のアジ、サバ、イワシや大豆製品を食べて、チロシンをメラニンに変える酵素のチロシナーゼを活性化する銅イオンを多く含む甲殻類のエビ、カニ、ココアなどがおススメです。

しかし、毛母細胞に混在している色素細胞で働く酵素のチロシナーゼは、いちど活性を失うとほとんど回復しません。

ある程度の予防はできても、治療はほとんど不可能です。

健康な体を保つには、必要な栄養分をバランスよくとることが基本です。

毛も体の一部です。

美しい毛を育て保つには、バランスのとれた食事を取り、適度な運動をし、規則正しい生活をすることが大切です。

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください