こんちわ!大坂です
いつもお読みいただきありがとうございます
先日参加した日本毛髪科学協会の全国セミナーの中に
皮膚科の先生による皮膚障害の話がありました
その中には、もちろん染毛剤によるかぶれの話もありましたので
自分での実体験も交えながら、触れてみようと思います
メディアでも取り上げられることの多い染毛剤によるかぶれ
理美容室では避けて通れない問題です
特に白髪染めになります
なぜ白髪染めなのか?
それは、白髪を日本人の髪色のような黒褐色にする時にどうしても必要になるパラフェニレンジアミン(PPD)
これがないと黒褐色~茶色にすることができないからです
欧米では禁止されている酸化染料ですが、日本人の髪を白髪ぞめするには、今の所これなしではできません
研究しているメーカーもありますが、まだPPDなしに黒褐色にするまでには至っていないのが現状のようです
ではこのパラフェニレンジアミンの何が問題なのか?
それは、アレルギー性接触性皮膚炎の可能性のある成分だからです
接触性皮膚炎には、刺激性のものとアレルギー性のものに分かれています
アレルギー性のものはさらにそこからⅠ型~Ⅴ型に分かれ
パラフェニレンジアミンによるかぶれはⅣ型になります
刺激性接触性皮膚炎は、塗った直後にすぐにヒリヒリしたり赤味がでたりしますが、これはその薬品を洗い流せばなくなるものです。
白髪染めをしてすぐにピリピリと刺激を感じるのは、パラフェニレンジアミンでの刺激ではなく、カラー剤に含まれるその他の成分、アルカリ剤や界面活性剤、過酸化水素によるものと推測されます
Ⅳ型アレルギー性接触性皮膚炎は遅延型のアレルギーです。
白髪染めを流した後、6時間から48時間以内に痒みがでたり、赤味や湿疹がでたりするものになります。
花粉症や食物アレルギーなどは、触れたり食べた直後にすぐにアレルギー反応が出るので、こちらは即時型のアレルギーⅠ型アレルギーです。
この辺の免疫反応が複雑で、Ⅰ型アレルギーは抗体がかかわってくるので、一度でも花粉症になってしまうと体に花粉による抗体が出来上がっているということなので、すぐに反応が出てしまいます。
パラフェニレンジアミンによるかぶれは、その物質が非常に小さいため抗体ができません。非常に小さい化学成分は、体の中のたんぱく質と結合して初めて免疫細胞が異物と認識します。ここでその異物と認識したたんぱく質を攻撃するため、発赤や湿疹ができるまでの時間がかかることから、遅延型アレルギーと呼ばれています。
花粉症のような即時型アレルギーは、身体の免疫細胞が花粉の構造を覚えてしまっているため、少しの量でも花粉と接触すると、諸々のアレルギー反応が出ます
遅延型のⅣ型アレルギーの場合は、どうか?というと
発症リスク=暴露量×時間ということになります
1、白髪染めの頻度が多く
2、カラー剤に接触している時間が長ければ長いほど危険度が増していくということです
これには、身体の性質も絡んでくるので、アレルギー体質の方は早く出ますし、健常な体の場合通常の使用回数では問題ない方もいます。
どちらかというと理美容師の方がその危険度は増していくということになります(事実職業性アレルギー疾患のガイドラインには必ず出て来る職業です)。
パラフェニレンジアミンによる感作(体が覚えてしまう)が起きてしまうと、ひどい症状が現れてしまいます。ひどいときにはアナフィラキシーショックにより、死に至る場合もあるそうです(その確率はかなり低いと思いますが)
ここから、実体験も交えて話をしてみますと
(汚い手ですいません・・・💦)
花粉症もなくアレルギー体質でもないのですが
乾燥肌で冬場はあかぎれができます
今年も赤切れになりましたが、その部分で色んな実験をしてきた結果
今では、カラーのシャンプーをするだけで、ジュクジュクとしてきます
そんな左手の薬指なんですが、そこからわかったことも多々あります
まだパラフェニレンジアミンによる感作は成立していないようですが
ジュクジュクとするのは、荒れてしまっている左手の薬指だけで、他のあかぎれのできていない指は、なんともありません。
ここから推測できることとして、皮膚のバリア機能がしっかりとしている場合、ジアミンが触れてもアレルギー反応が出ない(出にくい)ということです。
ジュクジュクした薬指に防水性のある絆創膏を巻いてカラーのシャンプーをすると、反応が起こりにくくなりますが、ミネラルオイルなどの保湿剤では効果がないというがわかりました。
当サロンで使用しているカラー剤には、アレルギーを起こしにくくなる薬剤を混合していますが、それでも赤切れなどの傷が表面にある場合は、そこから簡単にカラー剤が侵入してしまうために、炎症を起こしている私の左手薬指だけはジュクジュクになります。
総論として
サロンでの皮膚の保護には限界があるということです
・いつものシャンプーをゴシゴシ洗っていたりすると、部分的に小さい傷ができている可能性があります。その部分には保護クリームを塗布しても効果はなく、最初は痒みだけで済んでいたものが、いずれはカブレるようになってしまうかもしれません。
・傷まではなくても、頭皮に赤味などの炎症がある場合そこには、免疫細胞が集中していることも考えられるため、結果かぶれるリスクも高くなります。
・傷だけでなく、ホルモンバランスも少なからず重要になってきます。特に女性の妊娠期や生理中、更年期の時もかぶれるリスクは高くなりますので、避けた方が良い時期です。
・花粉症の方もあまり症状がひどいときには、白髪染めによるアレルギーも出やすい時期ということも知っておいた方がいいと思います。
・何らかの病気中も同じです。風邪をひいている時、インフルエンザにかかっている時、通院中で何らかの薬を飲んでいる時もそうです。
それでも、白髪染めはQOL(Quarity of life)の観点から見ても必要なものと思います。
もし長く白髪染めをしていくのなら・・・
サロンでできることとして
・薬剤の刺激を少なくすること
・頭皮の確認
・必要ならば、気になる生え際部分と分け目などの目に入りやすい部分以外は、頭皮から少し薬を浮かして塗布する
・適切な残留薬剤処理
・適切なシャンプーイング
が必要になりますが
あわせて協力をお願いしたいのが、お客様の健康管理と頭皮の管理です。
これがないと、完成しません。
それくらい、通常の白髪染めには注意が必要だということです
ホントに気にされている方は、
アルカリや過酸化水素を使用していない、刺激の少ないカラーや
ヘナなどの100%植物染めに移行しているとは思いますが・・・
少しはご理解いただけたでしょうか?
あなたのきれいな髪と綺麗な頭皮を応援しています
ここまでお読みいただきありがとうございます。