危険な白髪染め~それはある日突然やってくる~②

こんちわ!いつもお読みいただきありがとうございます

「きれいな髪は健康な頭皮から」

毛髪診断士認定講師の大坂です

 

毛染め・白髪染めのいったい何が危険なのか?

以前から何度か書いていますが、もう一度まとめてみます

 

毛染めといっても、種類が豊富にあるのですが

最も問題のある毛染めが、1剤と2剤をミックスして使う酸化型永久染毛剤と呼ばれるものです

そう、一番使用されているであろうヘアカラーです(髪を明るくしたり、白髪を染めたり、ドラッグストアに行けば、どれを選んでいいのか迷うくらい沢山陳列してあるカラー剤です)

ヘアマニキュア、カラートリートメントにも問題が隠されていますが、それはいずれ・・・

 

酸化染毛剤はカラー剤としてみた時非常に優れています。希望の髪色にするには、このカラー剤が無ければ成り立ちません。使い勝手もよく誰でも手軽にできるのですが、そこに問題があります。
ヘアカラーをすると髪が傷むということは、誰しも経験上知っていると思いますが、それ以上に皮膚にもダメージがあり、カブレるリスクと体にも負担があるということを、知っている方はすくないでしょう。
事が起きてからでないと、人は知ろうとしません。

酸化染毛剤に含まれるリスクのある成分
・酸化染料(パラフェニレンジアミン、硫酸トルエン‐2,5‐ジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノール、レゾルシン等)
・アルカリ剤(アンモニア水、モノエタノールアミン等)
・合成界面活性剤(ラウレス硫酸Na等)
・過酸化水素水

他にも色んな成分が配合されていますが、髪を傷め皮膚に刺激をもたらすと思われる成分がこれだけ配合されています。
(酸化染料は色味によってこれ以上の成分が配合されています)

それぞれのリスク

①酸化染料

アレルギー性接触性皮膚炎のリスクがあり、厄介なのがすぐに反応が現れないということです(早くて塗布後30分~48時間以内に何かしらの症状が皮膚に現れます)。かぶれの諸症状として痒み、発疹、発赤、水疱、刺激、腫れなどの症状が現れます。酸化染料はアレルゲン物質なので体の免疫機構が働き、再度同じ化学物質が接触した時に同じ症状が現れます(感作といいます)。酸化染料によるカブレは遅延型のアレルギーなので塗布後すぐに症状が現れないのが特徴です。因みに同じアレルギー症状でも花粉症や食物アレルギーは、Ⅰ型アレルギーといって即時に症状が出ます。
特に怖いといわれているのが、遅延型のアレルギー症状が悪化すると即時型アレルギーに変化し、アレルギー反応が強い場合、呼吸困難や血圧低下、意識障害などのアナフィラキシーショックが起こる可能性があるということです。
その一番可能性のある酸化染料が”パラフェニレンジアミン”です。パラフェニレンジアミンは少量でもその危険性がぬぐえないため、´91年にフィンランドで使用が禁止されたのを皮切りに世界各国で使用禁止の流れがひろがりました。ところが日本ではこの物質が毛染め剤に使われています(褐色系の色を出すのに不可欠で、いまだにこれに変わる染料が開発されていないため)。
パラフェニレンジアミンによるカブレには「交差反応」というものがあります。
・PPDブラックラバーミックス(エレベーターの手すり、靴底、車のタイヤ)
・リップクリームや石けんに含まれることがあるタール色素赤色225号
・化学繊維の服の染料パラアミノアゾベンゼン
・ゴムの老化防止剤、サルファ剤の1部
等にもアレルギー症状が現れるようになります(これを交差反応といいます)。

パラフェニレンジアミンの一般の方の陽性率は6,6%(2011ジャパニーズスタンダードアレルゲン26種中第4位)ですが、理美容師に限っての検査によると74,5%になります。接触回数、接触時間(理美容師はカラー剤塗布中はグローブをするが、染毛後のシャンプー時にグローブを外す人92,6%)が増えることによりカブレるリスクが高まるということです。

理美容師参考陽性率
パラフェニレンジアミン・・・74,5%
パラアミノフェノール・・・10,2%
パラトルエンジアミン・・・8,2%
オルトニトロパラフェニレンジアミン・・・6,1%
レゾルシン・・・2,1%
メタアミノフェノール・・・2,0%
パラアミノアゾベンゼン・・・72,9%
赤色225号・・・39,6%

*酸化染料の種類によっても陽性率は変わってきますが、もしパラフェニレンジアミンによる感作が成立している場合は、交差反応のある他のジアミン系染料やフェノール系染料にもカブレるリスクは高まります。(全てをノンジアミンカラーしか使用していない場合はリスクは低くなると思います)

パラフェニレンジアミン等の酸化染料はその分子量の小ささから、経皮吸収があるといわれていますが、それはまたいずれ書こうと思います。

②アルカリ剤

アンモニア水、モノエタノールアミン等は染毛剤のPH調整に使用されます。PHがアルカリに傾く(アルカリ剤の量が増える)ほど髪の色も明るくできるようになります。
アンモニアはツンとくる刺激臭があるのですが、その揮発性から徐々にPHは下がっていきます。髪や皮膚に残留しにくいのですが、本来持っている強アルカリという性質から、皮膚に刺激を与えます。
モノエタノールアミンは臭いも少なく、刺激も弱いことからホームカラーに使用されることが多いアルカリ剤ですが、問題は残留しやすい点があります。弱い刺激でもいつまでも髪や皮膚に残留していると、髪が傷みやすくなったり皮膚バリアが壊れやすくなる可能性があります。

アルカリ剤は刺激性接触性皮膚炎を引き起こしやすい成分です。

③合成界面活性剤

染毛剤で使用されている染料は、しっかりと髪の中に入り込むように設計されています。そこで使用されている補助剤が溶剤や合成界面活性剤です。
毛根や毛母細胞を守るために常に皮脂成分が分泌されているため、頭皮は皮脂で覆われています。その影響で髪も油でコーティングされているため、そのままでは染まりに影響が出ます。そのための一つ目の理由として、合成界面活性剤で脂を取り除く方が染まりやすくなるということです。
もう一つは、染料自体の分散をよくするために配合されています。染料を溶かし込むには溶剤や界面活性剤の力が必要になります。染料と共に様々なエキスを水にすべて溶かしこむには、強力な乳化剤(界面活性剤)や溶剤の力を借りなければなりません。
ヘアカラー後のシャンプーという洗浄剤と、染毛剤に含まれる界面活性剤の効果により、頭皮の皮脂分を根こそぎ洗い流してしまうことによる皮膚バリアの回復の遅れから、様々な刺激にさらされていることになります。

合成界面活性剤は、皮膚のバリアを壊しアレルギー性皮膚炎、刺激性皮膚炎を助長します。

④過酸化水素水

H₂O₂。酸化剤、還元剤、殺菌剤、漂白剤としての効果がありますが、ヘアカラーの場合は酸化染料を酸化するための酸化剤として働きます。
ヘアカラーとして使用する場合6%濃度の過酸化水素水を使いますが、1剤と1:1の割合でミックスすることにより実際は3%の濃度になります。
濃度3%はオキシドールやオキシフルなどの名称で使用される、殺菌や消毒用で販売されているものと同じ濃度です。この濃度の場合、傷口に塗ると刺激を感じます。頭皮に掻き傷や炎症がある場合はピリピリとした刺激感があります。正常な皮膚には刺激感はないのですが、強力な酸化剤として活性酸素を発生させるため、残留することにより皮膚や髪に何らかの障害を引き起こす可能性はあります。刺激を感じていなくても、皮膚の中では何かしらの作用を起こしているかもしれません。最新の研究によると、過酸化水素は毛穴に侵入した時、毛包の途中にある膨大部(バルジ)にある毛包幹細胞や色素幹細胞をつなぎとめている“コラーゲン17”を傷つけ、髪の色素を作っている色素細胞のもと“色素幹細胞”を流出させてしまうそうです。白髪染めをしていると白髪が増えるというのは、嘘ではないらしいそうです。

過酸化水素水は、刺激性皮膚炎を引き起こし白髪を増長する可能性のある成分です。1剤に含まれるアルカリ剤とのミックスにより活性化し、様々なリスクが生じます。

 

毛染め白髪染めには髪へのダメージだけでなく、アレルギー性接触性皮膚炎刺激性接触性皮膚炎という皮膚に対する2種類の皮膚炎のリスクがあります。それは誰にでも起きる可能性があります。目に見えた皮膚炎が起きていなくても、何の対処もしていなければ身体には何かを残しています・・・

 

昨今、アレルギーの話をよく耳にするようになりました。増えている原因は親世代から始まったヘアカラーの慢性化による、アレルギーの引継ぎがあるかもしれません。

それ以上に一番気を付けなければいけない事は、理美容師の適切な保護でしょう。才能のある若い理美容師がアレルギーを理由に理美容界から去って行ってしまう話もよく聞きます。
この業界もサステナビリティを考えなければいけない時期が来たと思います。
お客様と理美容師を守るために伝えなければいけないこと、知っておいてほしいことはたくさんあります。

そのための持続可能な取り組みをしていこうと思っています。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます

 

 

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